2010年3月24日(水)

 

先週、大河ドラマ龍馬伝を

見ていてビックリ。

いつもの通り、酔っぱらってたので。

記憶が定かではナイっスけど。 

こんなくだりがあった。 

 

久坂玄端曰く。

  欧米列強が、日本の通貨価値を

  3分の1にしようとしている。

坂本龍馬曰く。

  そんなコトになったら、ニッポンが買いたたかれる。

  ニッポンが丸損ですきに・・・

 

みたいなことを言っていた。

 

 

おおっと、そんな話を聞くなんて。

卒論のテーマは、日本の貨幣の歴史。

日本経済史のゼミ出身のそれがし。

今は金融業界をランダムウォークしてるけど。

TVで龍馬が言っているのを見て、ハッと思いだした・・・

 

まさにその通りなんスよね。

 

 

当時、日本国内の金銀の交換レートは、

世界の金銀の交換レートとかけ離れていた。

国際的なレートに比べて、

日本国内では、異常に金が割安(銀が割高)。

日本国内の金の価値は、国際的に見ると銀に対して3分の1。

閉鎖経済の鎖国下なら問題ないけど、

世界とつながった瞬間にアービトラージが起きた。

 

日本で割安な金を買い漁り(銀を使って)、

その金を海外(香港)に持っていき、

持ってきた金を国際レートで銀に換える。

あら不思議、えらい銀が増えてるし。3倍に。

その銀を日本に持ち込んで、また金を買い漁る。

デリバリー手段さえあれば、労せずして儲かる。

まさに錬金術。

結果として、幕末に起こったゴールドラッシュ。

日本の金が海外に大量流出。

 

その後、国際レートに国内のレートを是正。

国内における金の価格だけを、

行き当たりばったりに3.375倍に引き上げ。

一気に物価が高騰。

とんでもないインフレを巻き起こす。

 

幕府の貨幣政策の無能ぶりが招いた狂乱物価。

最初の対応が悪いのか。

その後の対応が悪いのか。

どっちにしても行き当たりばったりだった、としか思えない。

 

米を俸給として貰っていた武士階級を困窮に陥れ、

その俸禄すらない浪人はもっと厳しい生活を強いられた。

商人は価格転嫁能力があるけど、

武士階級の稼ぎはインフレになっても連動しない。

反対に払いだけは、どんどん増えていく。

 

明治維新は、革命の側面もあるけど。

幕府の転落は必然の結果だったのもかもしれないっス。

 

度重なる改鋳で得ていた膨大な差益、

いわばデノミネーションで稼いだ不労所得を、

幕府は一気に失い、最後には北海道を担保に

借金しようとするくらいお金がない状態。

そんな幕府は、負けて当然だったのかも・・・

 

でも、明治維新になって悪いコトばかりじゃなかったのだから、

結果オーライってものかもしれないっス。

 

 

というようなコトを思い出しながら。

それらすべてを網羅した幕末経済小説。

佐藤雅美先生の『大君の通貨 (幕末円ドル戦争)』を、

もう1回読み直している次第。

 

それがしがかつてハマった分野。

判官びいきを差し引いても、

めっちゃ面白い歴史小説だなぁ。